2013年1月23日水曜日

鬼平犯科帳1

鬼平犯科帳1 

池波正太郎(文春文庫)

368円で2013/1/6に購入



1、唖の十蔵2、本所・桜屋敷3、血頭の丹兵衛4、浅草・御厩河岸5、老盗の夢6、暗剣白梅香7、座頭と猿8、むかしの女の8つの短編が収められた一冊。作品の知名度、価格を考慮の上でKindle ストアで最初に購入した有料本です。















唖の十蔵・・・仕事ぶりは真面目だが無口で仲間内から”唖(おし)の十蔵”とよばれている火付盗賊改方の同心、小野十蔵は盗賊”野槌の弥平”の一味を内偵中に弥平の配下の助次郎が妻に殺害された事に気付くが彼女の身の上に同情し助次郎の遺体を隠してしまう。


”鬼の平蔵”こと長谷川平蔵が火付盗賊改方長官に着任する前の出来事を描いた話。作中で”火付盗賊改方”という役所が幕府内部や一般市民からどのように見られているかなども物語りを読み進めていくだけで自然と理解出来る、プロローグ的な一本です。





本所・桜屋敷・・・生い立ち、若かりし日の淡い恋の思い出話などを絡めて”長谷川平蔵”の人物像を紹介しながら「唖の十蔵」で取り逃した”野槌の弥平”一味の残党を追う話。


平蔵、左馬之助が憧れていた女性おふさの転落人生が切ないです。





血頭の丹兵衛・・・かつて盗賊の中でも盗まれて難儀をする者(貧しい者)へは手を出さぬこと人を殺めぬこと女を手込めにせぬ(強姦しない)こと」の三か条を守り本格派と呼ばれた”血頭の丹兵衛”という男がいた。その”血頭の丹兵衛”を名乗る盗賊一味が突如、金品を奪った末に商家の主人、奉公人を一人残らず惨殺するという残忍な押し込み強盗を働いた。若い頃血頭の丹兵衛”に盗みの技を仕込まれ彼を”金箔付の親分”と慕う”小房の粂八”はの名誉を守る為に火付盗賊改方の密偵(いぬ)となり真相を追う。




浅草・御厩河岸・・・浅草・御厩河岸(おうまやがし)で小さな居酒屋を女房・お勝と切り盛りする男・岩五郎は元・盗賊で今は火付盗賊改方の密偵。昔の同業者を密告するという危険な役回りを引き受ける一方で岩五郎はお勝、連れ子の宇吉、お勝との間に生まれた娘おじゅん、お勝の母親に囲まれ幸せな日々を送っていた。そんな岩五郎へ彼が密偵だと知らない昔の仲間から”大仕事”への誘いがかかる。


家族との生活を守りたい気持ちとは裏腹に自分の”腕”が評価された事は嬉しい、という少し複雑な状況に陥ってしまう岩五郎には密偵、盗賊稼業というところを除けば(現状維持かリスクをとって転職や起業をするか、と考えれば共感出来る部分もあります。


老盗の夢・・・(わしも六十七になってしまった・・・・・・なにごとも思いきって、京へ骨を埋めるのもいいだろうよ)
盗賊”蓑火(みのひ)の喜之助”はかつての部下、源吉の元へ身を寄せ日々を過ごしていた。その日・・・・あの場所で・・・・あの女を見る事がなかったら、喜之助の余生は、穏やかな衰弱のままに身をゆだね、何事もなく朽ち果てていったことであろう。



喜之助も「盗まれて難儀をする者(貧しい者)へは手を出さぬこと人を殺めぬこと女を手込めにせぬ(強姦しない)こと」の三か条を守る本格派の盗賊なので(詳しくは書きませんが)この話は一見すると「悪が悪を討つ」という悪漢小説のようでもありますが喜之助は単純な「盗賊だけど良い人」ってわけでもないんですよね・・・・結構自分勝手な描写もあるし。善の面もあれば悪の面もある人間味のあるキャラクターですね。




暗剣白梅香・・・ある夜、新銭座に住む表御番医師・井上立泉(いのうえ・りゅうせん)をたずねた長谷川平蔵はその帰途に刺客に襲われた。刀身と刀身が噛み合い、火花が散る。
「火付盗賊改メ、長谷川平蔵と知ってのことか・・・そうだろうな、そうらしい。」
平蔵が声をかけると敵は、あっという間に身をひるがえし闇へ溶け込んでいってしまった。闇の中には芳香がただよっていた。
(あの曲者は、女・・・・・・?)


「浅草・御厩河岸」のあたりからちょこちょこ名前が登場している”蛇(くちなわ)の平十郎”が本格的にストーリーに絡んできてここから何本かは続き物のようになってきます。




座頭と猿・・・座頭(盲目)の按摩師(マッサージ師)を装い、狙いを付けた金持ちの家に入り込み家人の信用を得、盗みの仕事の下調べをする”按摩の彦の市”。彼は”蛇の平十郎”一味に所属しているが親分の平十郎が火付盗賊改方の動きを警戒して慎重になっているため盗みの決行が延期されてしまう。
時間を持て余した彦の市は茶店の女・おそのを口説き落として同棲をはじめたが、おそのには別の男の影が・・・・


鬼平犯科帳に出てくる男は盗賊など裏稼業の人間が多いので女性を仕事の為に利用したり、自分の欲望を満たす為に束縛したいってタイプが多いんですがこれはそういう男が手痛いしっぺ返しを喰らう話です。


むかしの女・・・二十年ぶりに長谷川平蔵はおろくと再会した。十九の平蔵が、おろくを知ったとき、彼女は二十六、七であり,娼婦であった。





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