2013年2月11日月曜日

アウターゾーン2(OUTERZONE 2)

アウターゾーン2(OUTERZONE 2)

光原 伸(集英社) 473円

アウターゾーンの2巻です。
一巻に掲載されていた第一部(ママと悪魔~デス・ファイヤー)の終了後から約半年の充電期間をおいて週刊少年ジャンプ1991年51号から再開された第二部の一話(全体を通しては11話)から掲載されています。

第二部からミザリィは”いわくありげな品物”を取り扱う店(その時々でアンティークショップだったり画廊だったり占いの館だったり業種はかわります)『美沙里』を活動拠点にして悩みを持った人達が客として訪れるとその悩みを解決する為の不思議グッズを授ける、という”ドラえもん”的な話が多くなってきます。(不思議グッズの取り扱いを誤った場合に持ち主が受ける罰はジャイアンにボコボコにされる、とか学校で廊下に立たされる、くらいじゃ済みませんけど)

本編(11話・フォーチュン・リング)開始直後に登場するミザリィ、髪の光沢の具合など第一部の初登場時よりも丁寧に描かれているような気がします。

第一部開始前は10週終了が前提だったけど第一部の人気を受けての再開だっただけに再開直後は絵にも力が入っていたんですね、たぶん^^

その辺に注目してみると週刊少年ジャンプではじめて第二部を読んだ時のアウターゾーンが帰ってきた!!という喜びの気持ちが蘇って来ます。

フォーチュン・リング・・・・自分では何もせず、幸運が向こうの方からやってきてくれれれば良い・・・・人間なら誰でも一度くらいは考えた事があるだろう。高校生の森沢英利菜もそんな願望を持つ普通の女の子だった。学校帰りに立ち寄ったミザリィの店で、身につけるだけで”幸運”になれるフォーチュン・リングを手に入れるまでは・・・・


皆さんも雑誌などで○○を身につけたらギャンブルで大儲け出来るようになった!!異性にモテるようになった!!みたいなキャッチコピーと共に札束を手にして美女に囲まれたおっさんの写真が掲載された”開運アイテム”の広告などを目にした事があると思います。巷には藁(わら)にもすがる思いの人たちを鴨(かも)にするようなインチキグッズが溢れていますが中にはフォーチュン・リングのように”アウターゾーン製の本物”も紛れ込んでいるかもしれません。運良く”アウターゾーン製の本物”を手に入れても幸福になったと感じる事が出来るかどうかまではわかりませんが・・・

悪魔の棲む家・・・・寂れた小屋の中からジッとこちら側を眺めている怪物が描かれた絵画”断頭の家”を手に入れた夜、ホラー作家だった父親が不審な死を遂げた。十数年後、父の死の真相を探る少年は偶然立ち寄った画廊『美沙里』で再び”断頭の家”と巡り合う。



素晴らしい芸術(音楽、絵画、彫刻etc)が時代を超えて愛されるのは作品に製作者の情熱が込めれれているから、という言い方もされますが込められているのが受け取る側に良い影響を与える+(プラス)の物ばかりとは限らない、という事でしょうか。

そういえば皆さんは小学校の頃、音楽室に飾ってあった昔の音楽家(ベートーベンやバッハ、ショパンなど)の肖像画の瞳が時々自分を見つめているような気がした事はありませんか?

悔恨・・・・ドライブ中に好奇心から死亡事故が多発し”魔のカーブ”といわれる峠道へ向かった誠はハンドル操作を誤り事故を起こし、同乗していた二人の友人を死なせてしまう。友人を死なせてしまった事がトラウマになった誠は車の運転が出来なくなっただけでなく、毎日を無気力に過ごすようになった。そんな彼がある夜、偶然乗り合わせたバスが事故を起こすが・・・


不思議グッズや凶悪なモンスターなどは出てこないので派手さはないが一巻収録の『あの日から』同様に大人向けの”ちょっと良い話”。(登場人物の台詞が説教臭く感じる場面がいつくかありますが)

わしはサンタじゃ!!・・・・今日はクリスマス。小学生の誠は大切にしていたおもちゃのロボット”ロボダーX(エックス)”を無断で捨てられた事から母親と大喧嘩をして家を飛び出してしまう。誠は路上で出会いがしらにぶつかって怪我をさせてしまった老人を自宅アパートまで送っていくが,どこからみても”普通のおじいさん”にしか見えないこの老人が突然
「自分はサンタクロースだ。」
と言い出す。


クリスマスプレゼントに限らず、お歳暮、お中元などを送る、受け取るという事が当たり前の”ただの年中行事”なっているのを反省させられる話です。子供だけでなく昔子供だった人も世代を問わず、心に響く話だと思います。

ロボット嫌い・・・・舞台は地球から遠く離れたある星に人類が資源採取目的で建設した基地。危険な作業は高度な人口知能を持つロボット達が担当しているが基地を管理するマサキ伍長はロボット達に嫌悪感を抱いていた。


ロボットを嫌って虐待するマサキ伍長vs素直に命令に従う可哀想なロボット達、という構図なのでアウターゾーンのパターンとしてマサキ伍長の最期を自分なりに想像していたんですが・・・・読み終えた時、子供の頃にはじめてこの話を読んだ時にロボット達とマサキ伍長の関係性に衝撃を受けたのを思い出しました。

人質・・・・ある夜、一人の男がコンビニに強盗に入った。男はコンビニに居合わせた女性客を人質に取り車に乗り込み、警察を振り切る事に成功するが・・・・人質に取った女性客はアウターゾーンの案内人(ストーカー)ミザリィだった。


人質になる、という設定もあり今までの話しと比べるとミザリィがストーリーに大きく絡んできますす。ミザリィの強盗に対する皮肉を利かせた台詞が印象的ですね。

「私が店にいる時に強盗に入るなんて・・・・不幸な男ね!」
「強盗をなさる皆さんに忠告しておきましょう。私を人質にとるのはやめた方がいいですよ。」

・・・・幼い頃から自分の容姿に自身がない少女・愛恵(めぐみ)。ある日、愛恵は自分をいじめる学校の不良から逃げる為に車道に飛び出すが、通りかかった高級車が愛恵を避けようとして事故を起こしてしまう。高級車に乗っていた資産家の両親は死亡し同乗していた一人息子・明(あきら)は事故の影響で失明してしまう。


明の叔父夫婦と許婚が”あんな事”になったので愛恵は”こうなる”のだろうな、と予想が付くんですが善人が幸せになる話は良いですね、やっぱり。アウターゾーンは悪人が手痛い罰を受ける(最悪の場合は死ぬ事もある)ラストもありますがそういう場合は後味が良くない事もありますからね。

森の妖怪・・・・険しい山に囲まれた土地にひっそりと存在する村。村のはずれの森には人食い妖怪が棲むという言い伝えがあり中に入る者はいない。
3歳の時に両親を亡くした美里は村長の家で朝から晩までこき使われていた。美里が年頃になったある日、村長の息子・吾助は美里を森の中に誘い出し手篭めにしようとするが抵抗した美里は足を滑らせ崖から転落してしまう。
崖下では恐ろしい姿をした生き物が転落してきた美里の様子を伺っていた。



登場人物の衣装とかが江戸時代のような雰囲気なので昔話の『泣いた赤鬼』みたいに”恐ろしい姿をした怪物”が(美里を助けたことで)村人達に受け入れらて幸せになる、という話だと思っていたら見事に予想を裏切られました。村長親子、村人達は性悪なので”あのラスト”も納得です。

魔神の手・・・・父親から引き継いだ古書店を営み好きな本に囲まれならがらのんびりと暮らす高崎の元に突然、大学時代の友人・加藤が三年ぶりに尋ねてきた。
金に困っている加藤は高崎に「”ある物”を買って欲しい」と持ちかける。


高崎さんが無欲すぎますね^^
私の元にこのアイテムが回って来ていたら人類、地球が終わっていたかもしれません。

殺したのは誰?・・・・大学入学と同時に一人暮らしを始めた由美は18年間恋人が出来なかったことにコンプレックスを感じていた。友人の勧めで良く当たると評判の占い師(ミザリィ)を尋ね恋愛運を見てもらうとミザリィは「近いうちに理想的な人に出会う。名前は”和樹”」と告げ”和樹”の詳細な似顔絵まで書いて見せた。
それ以降、由美の周りで不思議な事が起こり始める。
由美に乱暴しようとした男性や、つらく当たった人間が”何者か”に殺され始めたのだ。


子供の頃「”和樹”の正体は○○だ!もし○○じゃなかったら●●だ!!」と二重に予想していたら見事なくらいに外れてしまった懐かしい話です。

人面瘡・・・・高校受験を控えた少年は成績が思うように伸びずに悩んでいる時に見かけた”頭の良くなるアイテムあります”というチラシを見て、胡散臭いと思いながらも藁(わら)にもすがる思い出アンティークショップ美沙里を訪れる。
ミザリィがいう”頭の良くなるアイテム”とは、ある妖術使いの体に出来た、人の顔の形をした瘤(こぶ)を切り取って作成した”人面瘡(じんめんそう)”。
”人面瘡”を体にはりつけるともう一つの頭として働いてくれるが、”人面瘡”は信頼出来る人間にしか貸し出さない」とミザリィに言われた少年は「一週間だけ」という約束で”人面瘡”を借り受ける。


受験とは縁の無かった小学生時代は(妖術使いの体に出来た、人の顔の形をした瘤(こぶ)を切り取って作成した”人面瘡(じんめんそう)”?そんな気味の悪い物を体に付けるなんて馬鹿か?)と鼻で笑っていたものですが受験を経験した後に読むと少年の気持ちも理解出来ますね。

自分も受験時、神社や御寺で学業成就の御守りを買ってましたから。特に最後の追い込みの時期になると(どんな物でも良いからすがりたい)気持ちになるものです。

でも受験は自分の実力で挑むものであって御守りなどは気休めにしかなりません。まして”人面瘡(じんめんそう)”に頼ってはいけません!!

アフィリエイト広告アウターゾーン 2 (OUTERZONE2):光原 伸



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