光原 伸(集英社) 473円
33話から42話まで掲載されているビッグボリューム版4巻です。
40話の『黒帽子』は3巻掲載の30話『妖精を見た!』の続編です。私の記憶が正しければ週刊少年ジャンプ掲載時は複数話(ページ数から推測すると3話くらい)だったと思うのですが、この4巻では一話としてカウントしているようです。
この4巻から始まる『マジック・ドール』は当初からシリーズ物として企画されていたようですがこの”妖精”シリーズはそういうわけではないようなので、よほど最初の『妖精を見た!』の反響が凄かったんですね。私も当時は家で何か物がなくなるたびに(妖精か!?Σ(゚Д゚;))とビクビクしていたものです^^
以下、各ストーリーの簡単なあらすじと感想です。
救命艇に死神がいる・・・・沈没した豪華客船から救命艇に乗り込み九死に一生を得た数人の男女。医薬品や食料が残り少なくなった頃、一人の男が海に伝わる奇妙な伝説を語り始める。
船が沈む時というのは必ず乗客か船員の中に人間そっくりに化けた”死神”が紛れ込んでいるのだ、と・・・・
沈没した客船から命からがら救命艇で逃げ延びたものの極限状態の中で次第に精神に異常をきたす人間達。海洋パニック映画っぽい展開です。しかし二時間で一本の作品を作る映画とは違ってページ数に制限がある一話完結の漫画だから仕方がない部分もありますが救命艇での漂流が始まってすぐに「この中に人間に化けた死神がいるかもしれない。」と言い出した男(小説家)の行動は空気を読めなさすぎですね。
メンバーの中にミザリィがいるので「この中に死神(人間以外の存在)がいる」というのは間違いではないんですけどね^^
マジック・ドール①・・・・刑事の火牙(ひが)はコカイン取引の捜査中に誤って無関係の女性・マキを死なせてしまう。
わけもわからずに死んでしまったマキは”死者の門”の門番から自分は死ぬ予定ではなく”死後の世界”側の手違いで死んでしまった事を告げられてショックを受ける。
既に自分の体が火葬されてしまった為、門番から特例として最近亡くなった人間の体に乗り移っても良い、と言われるが条件の合う(若く健康で美人で金持ちである事)人間が見つからず困ったマキは一計を案じる。

ここは、どこだ!?・・・・突然、街中で目を覚ました若い男性。彼には、何故自分がそこにいるのか?、自分が何者なのか?という記憶が一切無い。困惑しながらも本能に突き動かされるように”街”からの脱出を試みるが・・・・

落ちたグラス・・・・超能力者に憧れる高校生・村井は事故で頭を強打した事がきっかけで念願の超能力者になった。
村井は超能力を使ったスプーン曲げでクラスの人気者になるが人気に嫉妬したクラスメートが絡んできた。その時、突然クラスメートの腕に激痛が走り骨折してしまう。

物語のクライマックスで人前で超能力を披露して”周囲から好奇の目でみられたり怖がられる”か”教祖扱い”されるかで村井が悩む場面がありますが私だったら”教祖扱い”される事を選びます^^
マジック・ドール②・・・・”死後の世界”の手違いで死んだ女性・坂内マキ。彼女は現世に戻る為に一時的に着せ替え人形に魂を宿らせ、自分が死ぬきっかけを作った火牙刑事の元に身を寄せ同居生活を送っている。
マキとの同居生活が始まって以来、周囲から着せ替え人形マニアだと誤解され始めた火牙。彼は誤解を晴らす事が出来るのだろうか?

パッと見だと外観はフェラーリかランボルギーニっぽいので刑事の給料で買えるとは思えないし・・・・火牙刑事の実家はかなり裕福なのかな?
新車ではなく中古、という可能性もあるけどフェラーリ、ランボルギーニなどの超スーパーカーだと年式や車の状態にもよるけど中古でも国産の高級セダンを新車で買うくらいの値段はするしそれだけの金を払って中古のフェラーリorランボルギーニを買ったのならかなりの”カー吉”という事?
ゲームの達人・・・・勉強や運動が苦手で家にも学校にも居場所がない高校生・古橋。
彼は日常生活の鬱憤を晴らす為にゲームセンターに入り浸り、周囲の客から一目置かれるようなゲーマーになるがそこはミザリィが経営するゲームセンターだった。

またこの頃は格闘ゲーム以外にテトリスに代表される落ちゲーも一世を風靡しており、同年代のゲーム好きは格闘ゲーム派と落ちゲー派に分かれてたのを思い出しました。
無情の街・・・・人類が宇宙に進出した未来。
厳しい環境と当局に管理された生活、人口密度の高さから地球の植民星で生きている人達は人間性を失っていた。
路上で人が死んでしまっても誰も関心を示さず、稀に困っている見ず知らずの人を心配して声をかける者がいれば声をかけた者が不審者扱いされるような環境の中、植民星の生活に馴染めない女性・リサはある日、一人の親切な男性・ルークに出合う。

二巻掲載『森の妖怪』みたいな思い切った展開のハッピーエンドでも良かったと思うのは私だけでしょうか?
黒帽子・・・・かつて恐ろしい妖精に襲われた少年・長坂。
16歳になった今も当時の恐怖を引きずって生活していた長坂は高校の美術部の合宿に参加した夜、以前よりも凶暴な種族の妖精・黒帽子と遭遇してしまった!!

しかも前回は長坂に親切だったミザリィも何故か今回は積極的に妖精退治に協力してくれないし^^;
老化・・・・「皺(しわ)だらけで動きは鈍いし、あんな見苦しい生き物になるくらいなら死んだ方がマシ。」と高齢者を蔑む不良高校生。
ある日、街で高齢の女性占い師に因縁をつけ金を脅し取るが仕返しとして”ある呪い”をかけられてしまう。

後書きで光原 伸先生が老人介護施設で働いている方から抗議を受けた、という主旨の事を書いています。詳しい事はわかりませんが、もしかしたら”悪さをした罰として老人になる呪いをかけらる”というのが”年をとる=嫌なこと”という風に感じた人もいるのかもしれません。
しかしこの話の主人公が「皺(しわ)だらけで動きは鈍いし、あんな見苦しい生き物になるくらいなら死んだ方がマシ。」という考えの不良高校生なので、本人が死んだほうがマシだと思っている”老人になる”という目に合わせる事が罰になっているだけで一般論として”年をとる=嫌なこと”とう事ではないのは当然です。
結末はあまり後味の良いものではありません。
マジック・ドール③・・・・マキが死ぬ原因を作った火牙刑事と着せ替え人形に乗り移ったマキ。時折衝突しながらも折り合いをつけながら奇妙な同居生活を続ける二人。そんな二人の生活を監視するように向かいのマンションから覗く人形マニアの男がいた。

フュギュアは生産数が少ないので一度買い逃すとなかなか入手出来ないので、自分が持っていない物を見かけると欲しくなってしまうんですよね^^;
でも窃盗はいけませんねw
アウターゾーン 4 (OUTERZONE 4):光原 伸